不動産業界あるある⑫ 原状回復で揉める本当の理由。退去立会いの現場で毎回感じる違和感
はいどうも。リブスペースの奥谷です。
原状回復の話は、不動産の中でも特に神経を使う場面です。退去立会いの最初は、だいたい穏やかに始まります。「お世話になりました」「特に問題ないと思います」。そんな会話をしながら室内を見ていく。ところが、途中から空気が変わる瞬間があります。壁のキズ、床の汚れ、設備の状態。そのあたりに話が及んだとき、一気に温度が上がる。
ここから先は、経験している同業者の方なら分かると思いますが、言葉の選び方一つで、話がまとまるか、揉めるかが決まります。
入居者の原状回復とオーナーの原状回復は別物
原状回復で揉める一番の原因は、そもそも「原状回復」という言葉の捉え方が違うことです。入居者様は、入居したときの状態に戻すことだと思っている。オーナー様は、次の入居者が問題なく住める状態に戻すことだと考えている。このズレが、ほぼすべてのトラブルのスタート地点です。
入居者様からすれば、普通に生活していただけ。特別なことはしていない。その感覚は間違っていません。一方で、現場から見ると、生活の積み重ねでできた汚れや傷は、確実に次の募集に影響します。この両者の視点は、なかなか交わりません。
国交省ガイドラインを出しても解決しない理由
原状回復の話になると、必ず出てくるのがガイドラインです。説明としては正しいですし、基準としても重要です。ただ、正直なところ、ガイドラインを出したからといって納得してもらえるケースはそれほど多くありません。
なぜかというと、入居者様が納得できないのは「理屈」ではなく「感情」だからです。きれいに使ったつもりなのに請求される。そんなに汚していないのに費用がかかる。この気持ちに対して、文章や基準を出しても、火消しにはなりません。むしろ、説明が増えるほど不信感が強くなることすらあります。
写真がない退去立会いはほぼ負け戦
同業者向けの話になりますが、入居時の写真がない原状回復交渉は、かなり厳しい戦いになります。入居時の状態が曖昧だと、すべてが水掛け論になる。あったか、なかったか。最初からこうだった。いや、違う。このやり取りに入った時点で、話は長引きます。
逆に、写真がきちんと揃っていると、説明がシンプルになります。感情は残っても、事実は動かない。原状回復で揉めるかどうかは、退去時ではなく、入居時にほぼ決まっていると感じています。
本当に大事なのは金額より納得感
最終的に強く思うのは、原状回復で一番大事なのは金額ではないということです。数万円の差よりも、「ちゃんと説明されたか」「納得できるか」が、その後の印象を左右します。たとえ減額しても、説明が雑だと不満は残る。逆に、きちんと理由を伝えれば、満額でも理解してもらえることがある。
原状回復は、入居者様にとって最後の不動産体験です。ここで嫌な思いをさせると、その印象がすべてになります。オーナー様にとっても、管理側にとっても、実は一番評価されている場面かもしれません。
まとめとして伝えたいこと
原状回復トラブルは避けられません。ただし、減らすことはできます。入居時の記録、事前の説明、退去時の伝え方。この積み重ねで、揉めるか、静かに終わるかが決まります。
同業者の方なら分かると思いますが、原状回復がきれいに終わった案件ほど、あとに何も残らない。逆に、少し無理をした案件ほど、あとからクレームや悪評として返ってくる。だからこそ、この地味な作業を丁寧にやることが、結果的に一番コスパがいいと感じています。
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